「デマンドレスポンスって聞いたことはあるけど、何のことかよくわからない」「参加するとお得なの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。電力の需要と供給を調整する仕組みとして、近年ますます注目が集まっているデマンドレスポンス。実は、スマホと電気の契約があれば誰でも参加できる手軽さも魅力のひとつです。
この記事では、デマンドレスポンスの基本的な仕組みからメリット・デメリット、参加方法まで、初めての方にもわかるようにお伝えしていきます。

デマンドレスポンス(DR)とは?基本の仕組み
デマンドレスポンス(Demand Response、略称DR)とは、電力の需要と供給のバランスを保つために、電力の使い手(需要家)側が電気の使い方を調整する仕組みのことです。
普段、私たちが当たり前のように使っている電気ですが、発電量と消費量は常にバランスが取れている必要があります。もし需要が供給を大幅に上回れば、停電が発生するおそれがあります。逆に供給が大きすぎても電力の無駄が生まれます。
デマンドレスポンスでは、電力がひっ迫する時間帯や市場価格が高騰するタイミングに合わせて、需要家が電気の使用量を減らしたり、使う時間帯をずらしたりすることで、全体のバランスを調整します。
2つのタイプ:下げDRと上げDR
デマンドレスポンスには大きく分けて2つのタイプがあります。
- 下げDR(需要抑制):電力がひっ迫しているとき、電気の使用量を減らすよう要請されるもの。夏の猛暑日にエアコンの設定温度を少し上げる、といったイメージです。
- 上げDR(需要創出):再生可能エネルギーの発電が多く、電力が余っているときに電気を積極的に使うよう促されるもの。蓄電池への充電や電気自動車の充電に活用できます。
とはいえ「どの家電を止めればどれだけ減るのか」は、感覚だけだと掴めません。ワットチェッカーをコンセントに挟めば、家電ごとの消費電力をその場で確認できます。
デマンドレスポンスの流れ
具体的にどのような流れで行われるのか、全体像を見てみましょう。
- 電力会社がアグリゲーター(仲介事業者)に節電要請を通知する
- アグリゲーターが各家庭や企業など需要家に節電(または増電)の指令を送信する
- 連絡を受けた需要家が電力の使い方を調整する
- 削減(または増加)した電力量をアグリゲーターが集計し、電力会社に報告する
- 電力会社からアグリゲーターを通じて、需要家に報酬が支払われる
家庭向けの場合、スマートフォンのアプリやメールで通知が届くケースが一般的です。指定された時間帯に電気の使用を少し抑えるだけで、ポイントや割引として報酬を受け取れる仕組みになっています。

デマンドレスポンスのメリット
1. 電気代の節約につながる
デマンドレスポンスに参加して電力量料金単価が高い時間帯の使用を抑えたり、節電要請に応じたりすることで、結果的に電気代が節約できるケースも珍しくありません。特に市場連動型の料金プランを契約している場合は、高い単価の時間帯を避けるだけで大きな節約効果が見込めます。
2. 報酬やポイントがもらえる
節電要請に応じて実際に消費電力を削減すると、その達成度合いに応じてポイントやキャッシュバックといった報酬が支払われます。東京電力エナジーパートナーや関西電力など、大手各社もDRプログラムを実施しており、参加するだけでお得になるチャンスがあります。
3. 環境貢献になる
ピーク時の電力需要を抑えることで、火力発電所の稼働を減らすことにつながります。これは発電時に排出されるCO2の削減に直結するため、脱炭素社会の実現に貢献できるという意義があります。
4. 電力の安定供給に貢献
電力の需給バランスが崩れると、大規模停電のリスクが高まります。デマンドレスポンスは「電力を使う側」から需給調整に参加できる仕組みであり、社会インフラの安定に貢献できます。
デマンドレスポンスのデメリット・注意点
- 生活パターンの変更が必要になる場合がある:節電要請のタイミングによっては、普段の生活リズムを一時的に変える必要があります。
- 報酬額が小さいことがある:家庭向けのDRプログラムでは、1回あたりの報酬が数十円〜数百円程度にとどまる場合も。大きな収入を期待するものではありません。
- 対応する電力会社が限られる:すべての電力会社がDRプログラムを実施しているわけではないため、利用中の電力会社が対応していなければ、乗り換えが必要になります。
- 蓄電池やHEMSがあるとより効果的:手動での節電には限界があるため、蓄電池やHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を導入していると、自動的に最適な制御ができます。
蓄電池やHEMSまで入れなくても、部分的な自動化ならすぐ始められます。スマートプラグを使えば、節電したい時間帯に特定の家電の電源を自動で切ることができます。

デマンドレスポンスへの参加方法
家庭でデマンドレスポンスに参加する方法は、意外と簡単です。以下の手順で始められます。
ステップ1:契約中の電力会社でDRプログラムがあるか確認
まずは現在契約している電力会社が、デマンドレスポンスのプログラムを実施しているか確認しましょう。東京電力EP・関西電力・Looopでんきなどの大手や新電力会社では、DR関連のサービスを提供しているところがあります。
ステップ2:専用ページまたはアプリから参加登録
各社の専用ページやアプリから参加登録を行います。多くの場合、利用規約に同意し、メールアドレスや通知先アプリを設定するだけで完了します。
ステップ3:通知に応じて節電を実践
参加登録が完了すると、節電要請のタイミングにメールやアプリのプッシュ通知が届きます。指定された時間帯に電気の使い方を工夫するだけです。
夏の下げDRでエアコンの設定温度を上げるときは、サーキュレーターで空気を回すと体感の暑さが和らぎます。消費電力の小さい機器なので、節電したい時間帯の相棒として使う方も多いです。
DRプログラムが利用中の電力会社にない場合は、DR対応の電力会社への乗り換えを検討するのも手です。申し込みから切り替え完了まで数週間〜1か月程度かかることが一般的なので、余裕を持って手続きしましょう。
デマンドレスポンスと相性がいい設備
デマンドレスポンスの効果を最大限に活かすには、以下の設備との組み合わせがおすすめです。
太陽光発電
自宅で発電した電力を使うことで、そもそも系統からの電力消費を減らせます。ピーク時間帯に太陽光で発電した電気を使えば、DRへの対応もスムーズです。
蓄電池
深夜の安い電力で充電し、ピーク時間帯に放電することで、節電要請への対応を自動化できます。蓄電池のAI制御機能を使えば、市場価格に応じて最適な充放電が可能になるものもあります。
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)
家庭内のエネルギー消費を見える化し、自動で機器を制御するHEMS。DRの通知に合わせてエアコンや給湯器の運転を調整するなど、きめ細かな制御が可能です。
HEMSの導入までは踏み切れないという場合は、スマートリモコンから始める方法もあります。エアコンや照明を外出先から操作したり、時間で自動運転させたりできます。
EV(電気自動車)・V2H
電気自動車をV2Hシステムと接続すれば、EVのバッテリーを家庭用蓄電池として活用できます。上げDRの際にはEVを充電し、下げDRの際にはEVから家に電気を供給するといった柔軟な対応が可能です。

デマンドレスポンスは今後どうなる?
日本政府は「第6次エネルギー基本計画」の中で、再生可能エネルギーの導入拡大と電力の安定供給の両立を掲げています。その実現に欠かせない柱のひとつが、デマンドレスポンスの普及です。
今後の見通しとして、以下のような動きが予想されています。
- 容量市場の本格運用:電力の供給力を確保するための容量市場が本格化しており、DRによる「節電」も供給力として評価されるようになっています。
- アグリゲーター事業の拡大:複数の需要家の電力を束ねて調整する「アグリゲーター」の役割が重要性を増しており、参入企業が増加傾向にあります。
- スマートメーターの全世帯普及:電力の使用状況をリアルタイムで把握できるスマートメーターの普及により、より精度の高いDRが可能になっていきます。
- VPP(仮想発電所)との連携:太陽光発電や蓄電池を束ねてひとつの発電所のように運用するVPPの取り組みの中で、DRの重要性が一段と高まっています。
よくある質問(Q&A)
Q. デマンドレスポンスに参加すると電気が使えなくなる?
いいえ、電気を止められるわけではありません。節電の「要請」であり、強制ではありません。参加者自身が無理のない範囲で電気の使い方を調整するだけです。
Q. マンションやアパートでも参加できる?
個別に電力会社と契約している場合は参加できます。一括受電のマンションでは、管理組合や管理会社を通じた対応が必要になることがあります。
Q. 参加に費用はかかる?
基本的に参加費用はかかりません。アプリの登録や通知設定のみで始められるプログラムがほとんどです。
Q. どのくらいの報酬がもらえる?
プログラムや節電量によって異なりますが、家庭向けでは1回あたり数十円〜数百円程度のポイント還元が一般的です。電力会社によっては月額割引になる場合もあります。
まとめ
デマンドレスポンスは、電力の需給バランスを調整するために需要家が電気の使い方を工夫する仕組みです。参加することで電気代の節約や報酬の獲得ができるだけでなく、社会全体の電力安定と脱炭素にも貢献できます。
スマートフォンひとつで始められる手軽さがあり、太陽光発電や蓄電池と組み合わせればさらに効果を発揮します。まずはお使いの電力会社でDRプログラムが用意されているか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
参考:エナリス「デマンドレスポンスとは?」 / 資源エネルギー庁 / 出光興産「デマンドレスポンスとは?」
📦 この記事で紹介した商品



