「FITの固定買取期間が終わったけど、太陽光発電の余った電気はどうすればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
卒FIT後は売電単価が大幅に下がるため、余剰電力を自家消費に切り替えることが経済的に有利です。そして、自家消費を最大化するためのカギとなるのが蓄電池の導入です。
この記事では、卒FIT後の蓄電池活用方法やメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。

そもそも卒FITとは?
FIT(固定価格買取制度)は、太陽光発電で作った電気を一定の価格で電力会社が買い取る制度です。住宅用の太陽光発電(10kW未満)の場合、買取期間は10年間と決まっています。
この10年間の固定買取期間が満了することを「卒FIT」と呼びます。2019年11月に最初の卒FITが発生し、それ以降毎年多くの家庭が卒FITを迎えています。
卒FIT後の売電価格はどうなる?
| 項目 | FIT期間中 | 卒FIT後 |
|---|---|---|
| 売電単価(目安) | 24〜48円/kWh(設置年による) | 7〜9円/kWh程度 |
| 年間売電収入(4kWシステム) | 約10万〜20万円 | 約2万〜3万円 |
| 買取方式 | 固定価格買取 | 各電力会社の自由買取 |
卒FIT後は売電単価が5分の1〜6分の1にまで下がります。一方、電力会社から電気を買う場合の単価は1kWhあたり約30〜40円です。つまり、売るより使ったほうが3〜5倍もお得ということになります。
卒FIT後の3つの選択肢
卒FIT後の余剰電力の扱い方は、大きく分けて3つあります。
選択肢1:そのまま売電を続ける
手続きが比較的シンプルで、初期費用がかからないのがメリットです。ただし売電単価が大幅に下がるため、売電収入はわずかです。何もしなくても各地域の電力会社が引き続き買い取ってくれますが、金額面のメリットは限定的です。
選択肢2:生活パターンを変えて自家消費する
太陽光が発電している日中に、洗濯乾燥機や食洗機、エコキュートの沸き上げなどを集中させる方法です。初期費用がかからない反面、生活リズムの制約が大きいのがデメリットです。日中不在の家庭では実践が難しいケースもあります。
選択肢3:蓄電池を導入して自家消費率を上げる
昼間の余剰電力を蓄電池に貯めて、夜間や雨天時に使う方法です。自家消費率を50〜70%程度まで引き上げることが可能で、電気代の削減効果が大きくなります。
売電価格(約8円/kWh)に対して家庭用電気料金は平均約35円/kWh。卒FIT後は売電より自家消費のほうが約4倍もお得です。蓄電池を導入すれば、この価格差を最大限活用できます。
卒FIT後に蓄電池を導入するメリット
メリット1:電気代の大幅削減
蓄電池を導入することで、年間3万〜8万円程度の電気代削減が期待できます。昼間に余った電気を蓄電池に貯めて夜間に使えば、電力会社から買う電気の量を大幅に減らせます。
例えば、4kWの太陽光発電システムと7kWhの蓄電池の組み合わせの場合、自家消費率が30%から70%に向上するケースもあります。
メリット2:停電時の非常用電源として使える
近年は自然災害が増えており、停電への備えは重要性を増しています。蓄電池があれば、停電時にも冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電などに電気を使い続けることができます。
メリット3:電気の自給自足に近づける
太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、電力会社への依存度を大幅に下げられます。電気代の値上げにも左右されにくい生活が実現できます。
メリット4:環境への貢献
自家消費を増やすことで、火力発電所からの電力購入量が減り、CO2排出量の削減にもつながります。環境意識の高い方にとっては、大きなやりがいになるでしょう。

卒FIT後に蓄電池を導入するデメリットと注意点
デメリット1:初期費用がかかる
家庭用蓄電池の導入費用は、容量にもよりますが工事費込みで約80万〜200万円程度です。ただし、国や自治体の補助金を活用すれば負担を軽減できます。
デメリット2:設置スペースが必要
蓄電池の設置にはある程度のスペースが必要です。屋外設置の場合はエアコンの室外機程度のスペースが目安となります。
デメリット3:メンテナンスと寿命
蓄電池の寿命は10〜15年程度で、その後は交換が必要になる場合があります。メーカー保証の内容を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
蓄電池の導入費用は容量やメーカーによって大きく異なります。補助金の有無や自治体による上乗せ額も違うため、必ず複数社の見積もりを取って比較しましょう。
卒FIT後の蓄電池の選び方
容量の目安
卒FIT向けの蓄電池は、5〜10kWh程度が一般的な選択肢です。以下を参考に、家庭の電力使用状況に合った容量を選びましょう。
| 世帯人数 | 推奨蓄電池容量 | ポイント |
|---|---|---|
| 1〜2人 | 5〜7kWh | 少量の余剰電力を効率よく使える |
| 3〜4人 | 7〜10kWh | 夜間の電力もカバーしやすい |
| 5人以上 | 10kWh以上 | 大容量で安心感がある |
タイプの選択
蓄電池には「ハイブリッド型」と「単機能型」があります。既存の太陽光発電に後付けする場合はハイブリッド型がおすすめです。パワーコンディショナーの交換も兼ねられるため、効率のよい運用が可能です。
保証内容の確認
メーカーの保証期間と保証内容は必ず確認しましょう。機器保証と蓄電容量保証が別々に設定されていることもあるので、両方チェックすることが重要です。
卒FIT後に使える補助金
蓄電池の導入には、国や自治体の補助金が活用できる場合があります。補助金の額や条件は時期や地域によって異なるため、最新情報を確認することが大切です。
お住まいの自治体のホームページや、蓄電池の販売店に相談すると、利用可能な補助金を案内してもらえます。
卒FIT後の蓄電池活用シミュレーション
具体的にどのくらいの節約効果があるのか、シミュレーションで確認してみましょう。
条件設定
- 太陽光発電:4kWシステム(年間発電量約4,400kWh)
- 蓄電池:7kWhモデル
- 家庭の年間電力消費:約5,000kWh
- 卒FIT後の売電単価:約8.5円/kWh
- 電力会社からの購入単価:約35円/kWh
蓄電池なしの場合
太陽光で発電した電力のうち、日中に使い切れない約60%を売電に回すと仮定します。年間の売電収入は約2万2,000円です。一方、夜間は電力会社から35円/kWhで購入することになります。
蓄電池ありの場合
日中の余剰電力を蓄電池に貯め、夜間に使うことで自家消費率が30%から70%に向上。電力会社からの購入量が大幅に減り、年間で約6万〜8万円の電気代削減が見込めます。売電収入は減りますが、自家消費のほうが単価差でかなりお得です。
よくある質問(Q&A)
Q. 卒FIT後に何もしなくても売電は続けられますか?
A. はい、各地域の電力会社が引き続き買い取ってくれます。ただし売電単価はFIT期間中と比べて大幅に下がります。何もしないと自動的に各電力会社の買取プランに移行されるのが一般的です。
Q. 蓄電池がなくても卒FIT後に困りませんか?
A. 売電を継続すること自体は可能です。ただし、売電収入が大幅に減るため、自家消費を増やさないと経済的なメリットが薄くなります。生活パターンを変えて日中に電気を使うなどの工夫も一つの方法です。
Q. 蓄電池の導入費用はどのくらいで回収できますか?
A. 電気の使用量や太陽光の発電量にもよりますが、補助金を活用した場合、10〜13年程度で回収できるケースが多いと言われています。電気代の値上がりが続く場合は、さらに早まる可能性もあります。
Q. パワーコンディショナーの交換時期と蓄電池導入は合わせたほうがいいですか?
A. パワコンの寿命は10〜15年程度で、ちょうど卒FITの時期と重なるケースが多いです。ハイブリッド型蓄電池ならパワコンの機能も兼ねるため、同時に導入するのが効率的です。
Q. 卒FIT後の売電先は変えられますか?
A. はい、卒FIT後は売電先を自由に選べます。地域の電力会社以外にも、新電力やエネルギー会社が買取サービスを提供しています。買取単価を比較して、より条件のよい売電先を選ぶことが可能です。
Q. 蓄電池を後付けする場合、工事は大変ですか?
A. 後付け工事は一般的に半日〜1日で完了します。既存の太陽光発電システムとの接続工事が必要ですが、施工実績のある業者に依頼すれば問題なく設置できます。工事中に停電する時間帯もありますが、短時間で済むケースがほとんどです。
Q. 卒FIT前に蓄電池を導入してもメリットはありますか?
A. あります。FIT期間中でも蓄電池を導入すれば、停電時の備えになりますし、深夜の安い電力を昼間に使う時間帯シフトによる節約も可能です。ただし、FIT期間中は売電単価が高いため、自家消費に回す経済的メリットは卒FIT後ほど大きくない場合があります。
Q. 太陽光パネルが古くなっていても蓄電池を導入する意味はありますか?
A. はい。太陽光パネルは経年劣化で発電量が徐々に低下しますが、10年経過後でも当初の85〜90%程度の発電能力が残っているのが一般的です。発電量が減っていても、自家消費に切り替えることで電気代の削減効果は十分に得られます。パネルの状態が不安な場合は、施工業者に点検を依頼しましょう。
まとめ
卒FIT後は売電単価が大きく下がるため、太陽光発電の余剰電力を自家消費に切り替えることが経済的に賢い選択です。蓄電池を導入すれば、自家消費率を大幅に向上させ、電気代の削減と停電対策を同時に実現できます。
導入費用は決して安くはありませんが、補助金を活用することで負担を軽減できます。卒FITを迎えるタイミングは、蓄電池の導入を本格的に検討するよい機会です。



