「太陽光発電を設置したのに、電力会社から発電を止められることがあるって本当?」と不安に思っている方は少なくないのではないでしょうか。
実はこの「出力制御」という仕組み、太陽光発電を導入している家庭にとって売電収入に直結する重要なテーマです。特にここ数年は出力制御の回数が増加傾向にあり、今後の見通しについても知っておく必要があります。
この記事では、出力制御の基本的な仕組みから家庭への影響、そして具体的な対策まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。

太陽光発電の出力制御とは何か
出力制御とは、電力会社が太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電量を一時的に抑制する仕組みのことです。「出力抑制」とも呼ばれています。
電気は「使う量」と「作る量」を常に一致させる必要があります。このバランスが崩れると、周波数の乱れが生じ、最悪の場合は大規模な停電につながりかねません。そのため、発電量が需要を大幅に上回りそうなとき、電力会社は発電設備に対して出力を制御する指令を出すことがあるのです。
出力制御が行われる理由
出力制御が行われる主な理由は以下の2つです。
- 需給バランスの維持:晴天の休日など、電力需要が少ないのに太陽光発電の発電量が多いとき、電力の供給過多が起きる
- 送電系統の容量制限:送電線の容量を超える電力が流れ込む場合に、系統を保護するため
出力制御には優先順位があり、まず火力発電の出力を下げ、揚水発電で電力を消費し、地域間で電力を融通するなどの対策を行った上で、それでも供給過多が解消できない場合に、太陽光や風力などの再エネが対象となります。
出力制御の対象となる発電設備
住宅用の太陽光発電(10kW未満)であっても、出力制御の対象に含まれます。ただし、住宅用は産業用と比べて出力制御を受ける頻度が低いのが実情です。
出力制御の対象かどうかは、FIT(固定価格買取制度)の認定を受けた時期や電力会社のエリアによって異なります。詳しくは資源エネルギー庁の再生可能エネルギーページで確認できます。
出力制御が家庭に与える影響
出力制御は「発電を止める」指令ですので、その間は当然ながら売電ができません。つまり、売電収入が減少することになります。
売電収入への影響はどのくらい?
出力制御による売電収入の減少幅は、地域や時期によって大きく異なります。九州エリアでは出力制御の頻度が特に高く、年間の発電量に対して数%〜10%程度の影響が出るケースも報告されています。
一方で、関東や関西エリアでは出力制御の頻度は比較的少ないため、家庭への影響は限定的です。ただし、今後は全国的に再エネの導入量が増えていくため、出力制御の頻度も増加が見込まれています。

出力制御の今後の見通し
再生可能エネルギーの導入量は年々増加しており、それに伴って出力制御量も拡大傾向にあります。今後、FIT認定設備とFIP認定設備で出力制御の優先順位に差がつけられる方針が示されており、FIT設備から先に制御される形へ移行していく見通しです。
東北・四国エリアでは先行して運用が開始され、その後全国へ拡大される予定となっています。
出力制御対応機器とは
出力制御に対応するためには、「出力制御対応パワーコンディショナ」が必要です。これは、電力会社からの出力制御の指令を受信し、自動的に発電出力を調整できる機能を備えたパワコンのことを指します。
出力制御対応パワコンの仕組み
出力制御対応パワコンには、インターネット経由で電力会社のサーバーから制御スケジュールを受信する機能が搭載されています。受信した情報に基づいて、指定された日時に自動的に出力を抑制します。
出力制御対応パワコンはインターネット接続環境が必要です。Wi-Fi環境がない場合は有線LANなどでの接続が求められます。通信が途切れると正しく制御できない場合があるため、安定したネット環境を用意しましょう。
既設のパワコンは対応できる?
既に設置済みの太陽光発電システムのパワコンが出力制御に対応していない場合、パワコンの交換やアダプターの追加が必要になることがあります。費用はメーカーや機種によって異なりますが、数万円〜十数万円程度が目安となっています。
出力制御への具体的な対策
出力制御の影響を最小限に抑えるための対策をいくつかご紹介します。
対策1:自家消費を増やす
出力制御の影響を受けにくくする方法として、自家消費量を増やすことが挙げられます。売電量が多いほど出力制御の影響を大きく受けますが、発電した電気を自宅で使いきる割合が高ければ、制御を受けても経済的な損失は小さくなります。
具体的には、日中に洗濯乾燥機やエコキュートの湯沸かしを行うなど、電力消費を日中にシフトさせることが有効です。
対策2:蓄電池を導入する
蓄電池があれば、出力制御で売電できない時間帯に発電した電気を蓄電池に貯めておくことができます。貯めた電気は夜間や天候が悪い日に自宅で使えるため、出力制御による経済的な損失を大幅に軽減できます。
蓄電池の導入費用は容量にもよりますが、詳しくは以下の記事で解説しています。

対策3:電気自動車(EV)との連携
電気自動車を所有している方は、V2H(Vehicle to Home)システムを活用して、出力制御中の電力をEVのバッテリーに充電するという方法もあります。EVの大容量バッテリーを蓄電池代わりに使えるため、効率的に電力を活用できます。
V2Hの仕組みについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。





対策4:FIP制度への切り替えを検討する
今後、FIT設備が先に出力制御される方針になっていくことを考えると、FIP(フィードインプレミアム)制度への移行も一つの選択肢です。ただし、FIPは市場価格に連動するため、収入が安定しない面もあることは押さえておく必要があります。
産業用(10kW以上)の発電所をお持ちの方は、経済メリットをしっかり試算した上で検討されることをおすすめします。
出力制御の補償制度はある?
出力制御によって売電収入が減少した場合の補償について気になる方も多いでしょう。
結論から言うと、出力制御に対する直接的な補償制度は現時点では設けられていません。FIT制度上、出力制御は電力の安定供給のために必要な措置とされており、発電事業者が受け入れるべきものと位置づけられています。
ただし、一部の保険会社では出力制御による売電収入の損失を補填する保険商品を取り扱っている場合もありますので、気になる方は保険会社や太陽光発電の販売店に相談してみてください。
よくある質問(Q&A)
Q. 出力制御はいつ行われますか?
A. 主に春や秋の晴天日の昼間に行われることが多いです。気温が穏やかでエアコンなどの電力需要が少なく、なおかつ太陽光発電の発電量が多いタイミングで実施される傾向があります。
Q. 出力制御は事前に通知されますか?
A. 出力制御対応パワコンを使用している場合、前日までに電力会社から制御スケジュールが配信され、自動的に対応します。特別な操作は不要です。
Q. 出力制御中は家庭で電気は使えますか?
A. 出力制御はあくまで「電力会社への売電」を制限するものです。家庭内で使う自家消費分については制限されないため、通常どおり電気を使用できます。
Q. 出力制御を完全に避ける方法はありますか?
A. 完全に避けることは難しいですが、自家消費率を高める・蓄電池を導入するなどの方法で、経済的な影響を大幅に軽減することは可能です。
まとめ
太陽光発電の出力制御は、電力の需給バランスを保つために必要な仕組みです。今後も再エネの導入拡大に伴い、出力制御の頻度は増加していくことが見込まれています。
- 出力制御とは電力会社が発電量を一時的に抑える仕組み
- 住宅用は産業用と比べて影響は限定的だが、今後は増加傾向
- 自家消費の増加・蓄電池の導入・EV連携が有効な対策
- 出力制御対応パワコンとインターネット環境が必要
出力制御の仕組みを正しく理解し、早めに対策を打っておくことで、太陽光発電の経済的メリットを最大限に活かすことができます。蓄電池の導入を検討されている方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。



太陽光発電の導入全般について詳しく知りたい方は、資源エネルギー庁の再エネ賦課金のページやソーラーパートナーズなども参考になります。





