「太陽光と蓄電池をセットでリースしたら、結局いくら払うことになるの?」——見積もりを取り始めた方から一番よく聞かれる質問です。月額◯◯円という数字だけ見せられても、現金で買った場合と比べて高いのか安いのか分からないですもんね。
リースの話がこじれるのはたいてい「総額を並べて比べていない」ときです。月額だけを見て契約して、あとから総支払額に驚いてしまうケースは少なくないと言われています。
結論から言うと、15年で見た総支払額は、現金購入<ローン購入<リースの順に高くなります。ただし差額の分だけリースには中身が入っています。この記事では5kWの太陽光+10kWhの蓄電池というモデルケースで、3つの総額を数字で並べていきますね。

先に結論:3つの支払い方を総額で並べるとこうなる
まずは全体像からいきますね。太陽光5kW+蓄電池10kWhという、いま一番よく出る構成で15年間の支払いを比べた表がこちらです。
| ※実在する特定商品の見積額ではありません。太陽光5kW+蓄電池10kWhという条件を仮に置いた計算例です。金額は機器構成・屋根の条件・契約プランで変わります | |||
| 比較項目 | 現金購入 | ローン購入 (金利2.5%・15年) |
セットリース (15年) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 約290万円 | 0〜10万円(頭金) | 0円 |
| 毎月の支払い | 0円 | 約19,300円 | 約22,000〜27,000円 |
| 15年の総支払額 | 約290万円 | 約348万円 | 約396万〜486万円 |
| 現金購入との差 | ー | +約58万円 | +約106万〜196万円 |
| 設備の所有権 | 自分 | 自分 | リース会社 |
| 国の補助金 | 使える(年度による) | 使える(年度による) | 使えないことがある |
| 修理・メンテ費用 | 自己負担 | 自己負担 | 月額に含まれることが多い |
| 途中でやめる | ー | 繰り上げ返済で減額 | 違約金が発生 |
※機器の構成・屋根の条件・契約プランによって金額は変わります。あくまで相場から組んだモデルケースとして見てくださいね。
差額を見ると、リースは現金購入より100万〜200万円ほど多く払う計算になります。「じゃあリースはダメじゃん」と思うかもしれませんが、その差額の中には修理費や災害補償、そして「290万円を今すぐ用意しなくていい」という価値が入っているんですよ。ここから一つずつ分解していきますね。
前提になる2026年の相場を押さえる
比較の土台になるのが機器そのものの相場です。ここがズレていると、あとの計算が全部ズレますからね。
太陽光パネルは1kWあたり28〜30万円
経済産業省の調達価格等算定委員会がまとめた資料では、住宅用(10kW未満)の設置費用は全国平均で新築が1kWあたり28.9万円、既築が30.1万円とされています。5kWなら約145万〜150万円ですね。
蓄電池は1kWhあたり15〜20万円
家庭用蓄電池は工事費込みで1kWhあたり15万〜20万円あたりが実勢で、平均は17.2万円/kWhという集計もあります。10kWhなら150万〜200万円という幅になりますね。容量が大きいほど1kWhあたりの単価は下がる傾向がありますよ。
セットにすると20万〜50万円ほど下がる
太陽光と蓄電池を同時に入れると、パワコンをハイブリッド型1台にまとめられます。機器代と工事費の両方が浮くので、別々に買うより20万〜50万円ほど安くなるケースが多いです。
| ※公表統計の平均単価から組んだ試算です。特定の販売店の価格ではありません | ||
| 内訳 | 単価の目安 | 5kW+10kWhでの金額 |
|---|---|---|
| 太陽光パネル一式 | 28.9万〜30.1万円/kW | 約145万〜150万円 |
| 蓄電池一式 | 15万〜20万円/kWh | 約150万〜200万円 |
| セット導入による削減 | ー | ▲20万〜50万円 |
| 合計 | ー | 約245万〜330万円 |
合計の下限は「145+150−50=245万円」、上限は「150+200−20=330万円」という計算です。ずいぶん幅がありますが、これが実際のところなんですよね。
なお1kWあたりの単価は調達価格等算定委員会がまとめた全国平均です。実際の見積もりでは業者や条件によって25万〜30万円/kW程度の幅が出るので、他の記事や見積書で違う数字を見ても慌てないでくださいね。
この記事では中央付近の290万円を現金購入価格として使っていきます。内訳をもっと細かく分解した記事もあるので、金額の根拠が気になる方はこちらもどうぞ。

ちなみに、290万円という数字を前にして最初にやってほしいのが「うちは本当にこの容量が要るのか」の確認です。家電ごとの消費電力はコンセントに挟むだけの電力計で測れるので、見積もりの前に何日か測っておくと、業者の提案容量が妥当かどうか自分で判断できるようになりますよ。
【現金購入】290万円を先に払うパターン
いちばんシンプルで、いちばん総額が安いのが現金購入です。15年の総支払額は290万円ちょうど、金利もリース会社の利益も乗りません。
補助金が使えるのも現金購入(とローン)の強みですね。ただし2026年度の国のDR補助金は2026年5月29日に予算上限へ達して受付を終了しています。年度ごとに募集の有無や条件が変わるので、申し込みの前に環境共創イニシアチブ(SII)で最新の状況を確認してくださいね。自治体の補助金は別枠なので、お住まいの市区町村もあわせてチェックしましょう。
デメリットは手元資金が一気に減ることです。教育費や車の買い替えが近い家庭だと、ここが現実的なハードルになるんですよね。
【ローン購入】金利を払って所有権は自分のまま
ソーラーローンの金利相場は年1.5〜4.0%あたりです。信販会社系(オリコ・ジャックスなど)が2.5〜3.5%程度、銀行・信用金庫・JAバンク系が1.8〜2.8%程度というのが2026年の目安です。
290万円を金利2.5%・15年(180回)で借りた場合の計算がこちらです。
- 毎月の返済額:約19,300円
- 総返済額:約348万円
- 利息の合計:約58万円
現金購入との差は58万円です。この58万円が「290万円を今すぐ用意しなくていい」ことの値段ですね。設備の所有権は最初から自分なので、補助金も使えますし、繰り上げ返済で利息を減らすこともできます。
金利の差は思っている以上に効きます。同じ290万円・15年でも、金利1.8%なら総返済額は約332万円、3.5%なら約373万円です。40万円以上の差が出るんですよ。金融機関ごとの金利や審査については以下の記事で詳しく比較しています。



【リース】0円で始まる代わりに総額は一番高い
リースは「リース会社が設備を買って、あなたは月額を払って使う」という形です。太陽光と蓄電池をセットでリースする場合、月額の目安はこのくらいです。
- 太陽光5kW単体:月8,000〜13,000円程度
- 蓄電池10kWh単体:月12,000〜18,000円程度
- セットの場合:月22,000〜27,000円程度
15年契約なら総額396万〜486万円です。現金購入の290万円と比べると106万〜196万円ほど多く払うことになります。
月額はどうやって決まっているのか
リース料の中身を分解すると、だいたいこんな構成です。
- 設備代+工事代:リース会社が立て替えた元本部分
- 金利相当分:立て替えた資金のコスト
- 保守・修理の引当:期間中の故障対応の原資
- 保険料:火災・自然災害の補償
- リース会社の利益
つまりローンの利息にあたる部分+保守と保険+事業者の利益が上乗せされているわけですね。差額が100万円を超えるのは構造上そうなる、ということです。逆に言えば「保守も保険も自分で何とかする」つもりの人には、その分が丸ごと余計なコストになります。
なおリースの月額に公表された定価はありません。屋根の形状、パネルの枚数、蓄電池の容量、契約年数で一件ずつ変わるので必ず個別見積もりです。「月◯◯円から」という広告は最小構成のことが多いので、自分の家の条件で出してもらってくださいね。
実在するリースサービスの例
大手電力会社系が参入しているのが最近の特徴です。代表的なものを2つ挙げますね。
エネカリ(TEPCOホームテック)
東京電力グループのTEPCOホームテックが運営する定額利用サービスです。太陽光・蓄電池のほか、エコキュートやIHクッキングヒーター、V2Hも対象になっています。
- 初期費用0円、月々定額
- 利用期間は10年または15年から選択
- 期間終了後は設備が無償譲渡
- 期間中の修理費用は不要、自然災害の補償つき
カテエネリース(中部電力ミライズ)
中部電力ミライズのリースサービスです。2026年度のキャンペーンは2026年6月1日〜2027年3月31日が応募期間として案内されています。
- 対象は10kW未満の太陽光と4kWh以上の蓄電池
- 太陽光または蓄電池の契約で5万円相当のポイント特典
- 両方を同時に契約すると7万円相当
どちらも月額は個別見積もりです。特典の内容や応募期間は年度ごとに変わりますし、年度キャンペーンとは別に冬季キャンペーンなどが走ることもあります。検討するタイミングで公式サイトの最新情報を必ず確認してくださいね。


15年でいくら戻ってくるのか
支払う側の数字が出そろったので、今度は戻ってくる側を計算しますね。太陽光5kWの年間発電量はおおよそ5,500kWh前後です。蓄電池10kWhがあると夜の分もまかなえるので、自家消費と売電はざっくりこう分かれます。
| ※電気を1kWh=30円、年間発電量5,500kWhと仮定した計算例です。実際の発電量・電気単価・使い方で変わります | ||
| 項目 | 年間 | 15年合計 |
|---|---|---|
| 自家消費で減る電気代 (約4,000kWh×30円) |
約12万円 | 約180万円 |
| 売電収入 (約1,500kWh) |
1〜4年目:約3.6万円 5〜10年目:約1.2万円 11〜15年目:約1.1万〜1.8万円 |
約27万〜31万円 |
| 合計 | ー | 約210万円 |
売電の単価が3段階に分かれているのには理由があります。2026年度のFIT制度が最初の4年間24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhという「初期投資支援スキーム」の形になっているからですね。前半に厚く、後半は薄くという設計です。
そしてFITの買取期間は10年で終わります。11年目からは卒FITとなり、電力会社の買取プランを選ぶことになります。その単価は7〜12円/kWh程度が相場なので、上の表では11〜15年目をこの範囲で計算しています。合計に幅があるのはそのためです。
ここで最初の総額表と突き合わせると、こうなります。
| ※上の2つの表の数字を突き合わせた計算例です。補助金は0円として計算しています | |||
| 15年の支払い | 15年の経済メリット | 差引 | |
|---|---|---|---|
| 現金購入 | 290万円 | 約210万円 | 約▲80万円 |
| ローン購入 | 約348万円 | 約210万円 | 約▲138万円 |
| セットリース | 約396万〜486万円 | 約210万円 | 約▲186万〜276万円 |
正直に書きますが、15年時点ではどの買い方でもプラスに転じていません。蓄電池を含めると初期投資が大きくなるぶん、回収に時間がかかるんですよ。「10年で元が取れます」という営業トークが出てきたら、その計算の前提を必ず見せてもらってくださいね。
勝負がつくのはその先です。太陽光パネルの寿命は25〜30年あるので、16年目以降も発電は続きます。設備が自分のものになっていれば、そこからの電気代削減はまるごと手元に残るわけですね。
数字に出てこない差もちゃんと見る
リース満了時に何が残るか
リースで一番確認してほしいのがここです。契約終了後に無償譲渡なのか、買取なのか、返却なのかで価値がまるきり変わります。無償譲渡ならその後もタダで発電できますが、返却だと15年払い続けて手元に何も残りません。
もう一つ見落とされがちなのが蓄電池の寿命です。蓄電池は10〜15年で性能が落ちてくるので、15年のリースが終わって譲渡された蓄電池は、すでに交換時期に差しかかっている可能性があります。パネルは25〜30年もちますが、蓄電池はそこまでもちません——この時間差は覚えておいてくださいね。
修理費と途中解約
パワコンは10〜15年で交換になることが多く、費用は本体と工事費を合わせて25万〜40万円程度が目安です。現金購入・ローンなら自己負担、リースなら月額に含まれていることが多いです。差額が106万〜196万円ですから、この1回分だけで差額の1〜4割が説明できてしまう計算です。
一方、ローンは繰り上げ返済で早く終わらせられますが、リースは原則として中途解約ができません。できたとしても残リース料に相当する違約金がかかります。転勤や住み替えの可能性がある方は要注意ですよ。
契約前に数字で確認したい5項目
見積書を見比べるときは、月額だけでなく「期間×月額=総額」を自分で計算して並べてください。営業さんの提示する月額は各社で年数がバラバラなことがあり、そのままでは比較になりません。
- 期間×月額の総支払額:年数を揃えて計算しないと比較できません
- 契約終了後の扱い:無償譲渡・買取・返却のどれか。買取なら金額はいくらか
- 月額に何が含まれるか:工事費・修理費・保険・定期点検の有無
- 中途解約の違約金:計算方法と、引っ越し時の移設可否
- 補助金の扱い:リース会社が受け取って月額に反映されるのか、そもそも対象外なのか
特に3番と5番は、口頭では「含まれてます」と言われても契約書に書かれていないことがあります。紙で確認するのが鉄則ですよ。
なお、訪問販売で契約した場合は契約書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフができます。急かされて判断できないまま契約してしまったときは、国民生活センターのクーリング・オフ解説や、お住まいの消費生活センターに相談してくださいね。制度そのものの情報は資源エネルギー庁でも確認できます。


どれを選ぶべきか、タイプ別に整理
| 支払い方 | 向いているのはこんな人 |
|---|---|
| 現金購入 | 290万円前後を出しても生活に支障がない/総支払額をとにかく抑えたい |
| ローン購入 | 初期費用は出せないが設備は自分の資産にしたい/低金利で借りられる見込みがある/繰り上げ返済の余地を残したい |
| リース | 借入を増やしたくない(住宅ローンの残債が大きいなど)/修理や保険の手配をまるごと任せたい/15年その家に住み続けることがほぼ確実 |
蓄電池だけを単体でリースしたいという場合は、条件も相場も少し変わってきます。そちらは以下の記事にまとめてありますよ。



リースという仕組みそのものの詳しい解説や、会社選びのチェックポイントはこちらでどうぞ。



よくある質問
Q. リースの月額は電気代の削減分でまかなえますか?
A. 構成と使い方しだいです。今回のモデルケースだと電気代の削減が月1万円前後なのに対し、セットリースの月額は2万2,000〜2万7,000円です。差額分は持ち出しになります。「電気代の節約分で払えます」という説明を受けたら、その前提となる年間発電量と電気単価を必ず確認してくださいね。
Q. リースでも売電収入は自分のものになりますか?
A. リースなら通常は自分のものです。ただしPPA(電力購入契約)や屋根貸しは仕組みが違い、売電収入が事業者側になることがあります。契約書のタイトルが「リース」なのか別の名前なのかは必ず見てください。
Q. リース期間中に引っ越すことになったらどうなりますか?
A. 会社によって異なります。契約承継(買主に引き継ぐ)、移設、違約金を払って解約——このいずれかになるのが一般的ですが、条件は各社バラバラです。契約前に文書で確認しておきましょう。
Q. 結局いちばん安いのはどれですか?
A. 総支払額だけで言えば現金購入です。ただし手元資金・借入の余地・修理対応の手間まで含めると、家庭ごとに答えは変わります。3つとも見積もりを取って、この記事の表と同じ形で並べてみるのが確実ですよ。
まとめ:月額ではなく総額で並べる
太陽光+蓄電池の支払い方を比較するときのポイントをまとめますね。
- 15年の総支払額は現金290万円<ローン348万円<リース396万〜486万円(5kW+10kWhのモデルケース)
- リースの上乗せ分は金利相当+保守+保険+事業者の利益。中身がある差額です
- 15年時点ではどの方法でもまだ回収しきらない。勝負は16年目以降
- リースは契約終了後に何が残るかで価値が決まる(無償譲渡・買取・返却)
- 見積もりは年数を揃えて総額で比較する


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